桜はもう終わったのに、新緑の木々を冷たい雨が濡らしている。
ずっとストーブを付けっぱなしにして、コートを着て出かける毎日、
本来の4月の陽気がどんなものか、思い出せなくなっている。

例年なら、そろそろ珈琲もアイスにしたい頃だが、まだまだ熱い飲み物が手放せない。米も野菜も、そしてお茶も、農家の人たちは大変だろうなと思いつつ、日本茶を入れる。
お茶のお供に、「桜ひとひら」というお菓子を。 最後に残った一つ。
季節ものや期間限定というキャッチフレーズに弱いのは、私だけではないだろう。
特に、桜の季節はその思いが強い。
桜餅にはじまり、入浴剤に至るまで桜と名の付くものはひと通り試してみたくなる。
このお菓子は、 「たまたまご」で有名な
東京玉子本舗のもの。 桜の季節限定だ。
ホワイトチョコレートがサンドされた さくさくとしたピンク色のクッキー。
ラングドシャというお菓子があるが、それにいちばん近いかな。
ほんのりと桜の香りがする。
でも…? 桜の香りって、どんな香りだろう? と考えてみる。
満開の桜の花の下を歩いて、何か香りなんてするだろうか。
もし、桜の花にそれとわかる香りがあったら、
あんなにたくさんの花の下でのん気にお花見なんてしていられないはず。
私たちが、桜の香りと思っているのは、
塩漬けにした桜花の香りや桜餅に巻かれた桜葉の香りではないだろうか。
そんなどうでもよいことを考えつつテレビを見ていると、
今夜あたり、平野部でも雪になるところがあるらしい。
しかし、寒い。 とっくに新緑の季節が始まっているのに。
「桜のひとひら」は、もう販売されていないはず。
今の季節限定は、鮮やかな緑の美しい 「抹茶のひとひら」である。